「スウィングガールズ・プレミアム・エディション」の日

▼DVDスウィングガールズ・プレミアム・エディション」東宝、10290円)が届いたので、何となく見始めたら、これが結構大事だった。まず、普通に本編を見た。熱っぽくて気持ち悪い体調でも気持ち良く見ることが出来る。良くできてる。泣ける。映画だと、徐々に上手になっていく感じが無いと評した人がいた。それも分かる。分かるけど、とりあえず本当にヘタな状態は見せてある。あれ、ほぼ実力だったそうだし。で、その後、ちょっと上手になって、問題はスーパーの前での大セッション大会なのだろうと思う。あそこでいきなり上手くなるのはどうなのかと。で、細かく考える。まず、メインの五人に関しては、その前に裏打ちを覚えて、ジャズのリズムに乗れるようになった上で練習もしたから、凄く伸びたというのはありだと思う。ギター&ベースは最初からそこそこ弾ける設定だし、ピアノもテクはあるという設定。要は管の三人だし、その三人に限って言えば、確かに飛躍的に上手くなってはいるものの、所詮は自分たちの演奏。吹き替えではない拙さは十分届く。で、仲間の参加は、あれは副音声で監督が「ここはもう、リアリティか気持ち良いかの二者択一で、迷わず気持ち良い方を取りました」と言ってた通り、ここでリアルを選択する奴に、この映画は撮れないということだと思うのだ。ここで入ってきた連中が凄くヘタで「コケッ」とかで落とすというのもアリかもしれないけど、もう物語は終盤だ。ここは、昔の仲間が戻ってきて音に厚みが加わっていって雪、という以外に正解は無い。いや、全体にそうなのだけど、みんな決して上手くないんだ。特に良江(貫地谷しほり)のトランペットは下手だ。主演の友子(上野樹里)のサックスも息が続いてないからソロの後半が弱々しくなる。数人、ビシッと締めてるから曲になってる(そういう意味ではベースの子頑張ってるよなあ)のだし、だから、そのスリリングな演奏が映画を盛り上げる。吹き替えでない魅力というのは、やっぱ、そういうところに確実に出る。その下手さも含めて、高校生のバンド物なのだし。だから、見てしまう。ずーっと見てしまう。小学生の頃、器楽部に入って初めてウッドベース持たされて、やたら難しい譜面を渡されて、でも練習したら意外なことに曲になって聞こえてくるという衝撃。上手じゃなくても、音楽に聞こえるように弾くことは出来る。ヤマハの発表会もそうだな。授業レベルより、もう少しだけ多く練習すれば、それは結構誰でもたどり着く。音楽を楽しむなら、その程度で十分(つーても、そこまでには指とか5回くらい切れたりするけど、それもほんの少しだ)。その十分の楽しさがちゃんと映画になっている。その証拠に指が動いてて音が出てる。口がすぼまって、汗が出て、それはドキュメントではなく「映画」。ただの高校生バンドのドキュメントではなく、女優が映画として演奏しているから、引力がある。小説が描いたのは物語。画面に映るのは映画。この映画に関して、俺は映画の方が何倍も面白いと思った。物語は王道。心理描写は監督の気持ち。映画には実際に楽器を弾いている子供たちがいる。
▼そうやって盛り上がって見たら、つい引き続き、コメンタリー2音声で再び見始めてしまった。矢口史靖監督に、良江の貫地谷しほりトロンボーン関口の本仮屋ユイカ、ドラムス直美の豊島由佳梨が本編に合わせて喋っている。面白い。かなり監督が解説を入れる。女優達がいかにプロの女優であるかが分かる。あんまり面白いから引き続き、もう一つのコメンタリーも聴く。こっちは監督と、上野樹里平岡祐太の主役コンビ。上野、天然である。結局、3回続けて映画を見たわけで、自分に呆れる。もちろん、見ながらASAHIパソコン用のブログの引っ越し特集用のデータ作りはやってたのだけど。
▼引き続き、特典ディスク2のメイキングを2本、未公開シーン、アウトテイク集、エンディングのバージョン違いなどなど、たっぷりと見る。アウトテイクの弾けるようなリズムが嬉しい。練習風景が楽しい。待ち時間に自然発生的に演奏が始まったりすると泣いてしまう。思わず、ギター持ってシングシングシングとか合わせてみる。ちょっと弾けるから嬉しい。俺は俺で伊達に練習しているわけではない。
▼特典ディスク2収録のサイドストーリー集は、7本中4本は既にCS放送時に見ているので、残り三本は後で見ようということで、特典ディスク3へ。国内のプロモツアー、ロスとニューヨークへの遠征の映像がたっぷり。結局、それも全部見る。海外は本仮屋ユイカはいないのね。本編ラストのトロンボーンソロの、身体を少し斜めにして、内股を前傾させてトロンボーンを突き出すようにして吹く彼女の形は本当にカッコいいだけに、海外遠征はちょっと残念。あ、あの形って、「抱いてホールドミーオン」の頃の安倍なつみの形に似ている。ロックな形だ。

スウィングガールズ公式ガイドブック


出版社 角川書店
発売日 2004.09
価格?? ¥ 1,470(¥ 1,400)
ISBN?? 4048537911

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いや、持ってないけど。