海南鶏飯食堂と「諸国空想料理店」

▼昨日、log2mt.comが動かなかったため書けなかった分の原稿を書いて、図版を作って、ASAHIパソコンに送るついでに、既に送った分についての問い合わせも来ていたので、それへの答えなんかを電話で喋って、仕事関係の電話とかして、メール書いて、どうにか済ませること済ませたら既に4時55分。
▼5時30分に麻布十番待ち合わせだったので、間に合うかギリギリのところ。しかも待ち合わせは大江戸線の駅からはかなり距離がある南北線側の1番出口。ということで丸ノ内線で四谷に行って南北線に乗り換えるルートで行く。と、何と5時30分少し前に到着。おお、家から麻布十番ってドア to ドアで30分だ。近いじゃないか。青柳さん、石黒さんと待ち合わせて、ポワンタージュでデニッシュを中心にパンを買って(ここのパン凄く美味いけど、どれもちょっとづつルボワを下回る感じがする。メニューが似てるせいか余計にそう感じるのかも)、六本木ヒルズの一番麻布十番よりのJRAが入ってるビルのふもとにある海南鶏飯食堂へ。開店5分前くらいに着いて、6時少し過ぎに店が開いて、店内は予約でいっぱいということで、テラス席へ通される。天気は良いし、テラスといっても透明なテントで囲まれてストーブもあって、座席やテーブルはキレイだから何の問題も無い。適当に飲み物とツマミを頼んで落ち着いた頃に平田さんも到着。昨日、平田さんが「明日の夜、海南鶏飯食堂に行きたいから誰か」と呼びかけたことで急遽決まった食事会なのだったが、相変わらず忙しそうな平田さんではあって、電話はかかるわ、最後は呼び出されるわで大変だ。飯は美味かった。ジャスミンと鶏のスープで炊いたタイ米蒸し鶏を乗せて、溜まり醤油みたいなのとか生姜とかチリソースとかをかけてかき混ぜて食うという海南鶏飯がメインの店で、さっぱり軽い味わいなのでいくらでも食える。やけに香ばしくて美味しい卵焼きとか、イカと海老の黒胡椒炒めを中華パンに挟んで食うのとか、ココナッツミルクベースのラーメンとか、中華ブロッコリーの炒めとか、どれも普通に美味しくて、これらにデザート(マンゴープリンとタピオカ入りライチジュース)を加えて、飲み物も入れて一人3000円は立地とか考えると凄く安い。廉とかかみさんを連れていきたい良い店だったと思う。
▼会社に呼び出された平田さん以外のメンバーはスタバで二次会。しかし、いつも思うのだが恵比寿とか麻布十番とか、飯食った後、ちょっと美味しいコーヒーとケーキなんていう店って無いなあ。あっても9時くらいで終わる店だったりして、12時過ぎても大丈夫なカフェって、まだ、新宿とか渋谷とかでさえ数は少ない。そのあたりが日本の洗練されないところというか、遊び場のバリエーションの狭さだよなあと思う。まあ、青柳さんの過激トークが炸裂して、聞き手は俺と石黒さんだから、場所なんてどうでもいいのだけど、それでもねえ。美味しいコーヒーとかお茶とか飲みたいぞ、深夜に。
高山なおみ「諸国空想料理店」ちくま文庫、580円)を読む。この本の元になった「諸国空想料理店 Kuu Kuu」は一度行った事がある。開店二年目くらいだと思う。何も知らず、単に通りかかって飯食いに入っただけだが、「諸国空想料理」というキャッチは印象的だったので覚えている。胡散臭いなあと思っていた。味とかは覚えてない。行ったということだけ、記憶の端にある。で、この本だが、意外な発見があった。何というか、最近の、女性による料理エッセイの一つのパターンの原形ってここだったんだなあ、という発見。本人のスタンスを微妙にぼかした状態で、周囲の様子や、料理を描写とも表現ともつかない言葉で書き著わしていくスタイル。感想は書いても、何かを決定することは書かない。だから心地よく読める一方で、そのリアリティの無さが気になる。ただし、この本の高山なおみは、そのリアリティを「レシピ」という形で提示する。そのしっかりとしたオリジナリティは、文章よりはるかに雄弁に高山なおみを語るから、エッセイ全体の支柱にもなる。この本が面白いのは、エッセイという曖昧な言葉の中に、レシピをリアリティとして機能させているからだと思う。で、そのエッセイのスタイルだけを模倣した多くの料理エッセイがつまらないのは、結局、レシピが無いとか、レシピは受け売りとか、そういうものだからではないかと思ったのだった。言葉の、特にエッセイというスタイルの最も難しいのが、作者のリアリティをどう読者に伝えるかという部分。ここを失敗すると日記になったり、空疎になったりして、だから大方のブログとかの素人文章が詰まらないのは、素人のくせに何かを隠蔽しようという言葉を書くからなのだけど、そのへん難しいのだ。高山なおみのレシピには、何というか裸の高山なおみが見えてて、そこまでさらけ出したオリジナリティがあれば、後は言葉なんて後から伝わるという、そういう事に気がついたのだった。

諸国空想料理店(ちくま文庫)
高山 なおみ

出版社 筑摩書房
発売日 2005.03.09
価格?? ¥ 609(¥ 580)
ISBN?? 4480420525

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▼マックファン用のレビューは、シリアルナンバーが未着のため、ソフトがきちんと動作せず、ASAHIパソコンのブログ引っ越し特集用の表部分を三分の二くらい埋めて、メールとか書いて寝る。