「手錠無用」と「やっぱり猫が好き2005」

▼今日は廉の春休み最後の日でもあるし、行きたがっていたワンピースの映画「ワンピース THE MOVIE 〜オマツリ男爵と秘密の島〜」にでも連れていこうと新宿へ。時間があったので、途中、郵便局に寄って「AGAPE store #10 仮装敵国」の代金を振り込んだり、紀伊国屋書店を覗いたりして、新宿文化シネマへ。ところが、これが既に整理券が出尽くしていて入場不可。かなり早い時間に整理券が終わっていたという。そんなに人気なのかと思ったら、劇場のキャパが56席だと。1日5回、1回に立ち見を入れても70人くらいとして、全部で350人。どんな劇場でやってんだ。同じ映画を銀座では丸の内TOEI1でやってるわけで、あそこはキャパ510席。一日三回上映だから、1530人。新宿の一日以上の人数を一回で捌く。これが同じロードショー上映中の映画。何だかなあ。ハウルはガラガラだというのに。しょうがないから、廉に「明日は早く帰ってくる?」と聞いたら、午前中で帰ってくるというので、明日、銀座に見に行くことにする。残念そうではあったが、まあ、スクリーンもデカくなるし、いいだろうと。ツタヤとか、時計屋とか覗きながら、ぶらぶらと散歩がてら歩いて帰る。セブンイレブンに寄って、海洋楼、中国茶セットをゲット。
秋本治「こちら葛飾区亀有公演前派出所 144」集英社、390円)を読む。今回はブックデザインが良い。集英社の新書のパターンを踏襲しつつ、今回の目玉である日暮巡査を配置、地味な帯に「小学館漫画賞審査員特別賞受賞」の文字。で、帯を取ると、そこにはカラーの帯のデザインで派手にキャラが描かれ、それが日暮巡査の絵と絡まるように描かれている。それが裏側の折り返しまで続くという凝ったもの。カバー下は日暮巡査のブロンズ像が並んでるし。字体にもこだわってデザインされてて、ちょっとコミックスとしては珍しいほどの出来。内容は、いつもながら文句無し。
▼請求書とか書いて、メールの返事とか書く以外は、今日は基本的にお休み。大映の1969年作品、勝新太郎主演、田中徳三監督の映画「手錠無用」を見たり、昨日の「やっぱり猫が好き2005」を見たり、お茶ブログの更新をしたり、お茶本の内容をちょっと練ってみたりして、なんとなくダラリンと過ごす。気持ち良い。久しぶりに廉ともいっぱい喋ったし。こういう日の深夜に、ちょっと遊べる相手がいると嬉しいのだが、Megの出産以来そういう相手はいない。まあ、そういう相手がいる方が異常かとも思う。
大映映画「手錠無用」は、天才金庫破りの勝新が三億円強奪事件の犯人の罠に嵌まり、無実の罪を着せられたことから事件に巻き込まれ、勝新の古なじみの刑事藤田まことと、微妙にコンビを組みつつ事件を解決する話。藤田まこと勝新がコンビというのがカッコいい。そのコンビネーションや会話の楽しさが、ほぼこの映画の全てと言ってもいいかも。後は、珍しく妙に色っぽい藤村志保が面白い。婦人警官がおとり捜査でホステスになりすましている、という役柄で、もう、何というか、そうとしか言い様の無い嵌まり方。この藤村志保を見るためだけに見ても良いくらい魅力的。何か、勝新藤田まこと、犯人の成田美樹夫や佐藤友美も含め、やけにセクシーに見える映画でもある。
「やっぱり猫が好き2005」は、何というか、まあ、もちろん嫌いじゃない。楽しく見た。でも厳しいなあ。「自主映画制作の巻」は、それでも、かなり良くできてたと思う。映画というか撮影用語の頻発とか、「カメラ見たかったらバラエティに行け!」とかのセリフとか、室井滋日舞とか、笑いどころも多く、安心して見られた。ただ、その面白さは、これまでたっぷり見た「猫が好き」のパターンの中での楽しさ。何故だか、全てのシーンはどこかで見たことがあるパターンに見える。それが悪いとは思わないし、俺は笑って楽しんだけど、何となく。ファンクラブ向きというか、そういう空気を感じたのだった。次の「在宅ワークの巻」は、その逆。凄く野心的で、新しい猫が好きを作ろうという意欲に満ちていたと思う。インターネットの導入とか、室井さんのポジションの変化とか、色々とタネを用意して、しかし残念ながらまとめきれなかったようで、ストーリーはごたついて、ラストも適当なオチ。完成度や面白さは、「自主映画制作の巻」の足下にも及ばない(特にシナリオ)。でも、こういうのは無いと困るパターンで、多少の瑕には目をつぶって、これを採用したスタッフの心意気は好きだなあと思うのだった。しかし、当たり前だが、みんな年をとった。初めて、篠崎の家で見せてもらったのは、あれは1988年。まだ俺は25歳。