ル・クール・ピューと「愛がなくても喰ってゆけます」

荻窪のケーキ屋「ル・クール・ピュー」で勝又さんと待ち合わせ。先に付いたのだがカフェスペースは満席。2名ですと言って店内を眺めてたら席が空いて、20席ちょっとの小さなカフェスペースへ。その後少しして勝又さんも到着。それぞれにケーキとかお茶とか頼んで喋る。勝又さんの話は、いつも色んな意味で面白く大体俺はずーっと笑ってる気がする。それはそれとして、この「ル・クール・ピュー」という店は、ちょっと凄い。前から一度行ってみたいと思っていた店ではあるけど、ケーキ食ってお茶飲むなら一番良い店なのではと思った。何より、強烈なコストパフォーマンスの良さ。詳しいことはお茶ブログの方で書く予定だけど、例えば一例として、メニューの中から好きな飲み物を選んで、ショーケースから好きなケーキ1つ選んで、クリームブリュレか冷菓を選んで、さらにサンドウィッチ1つとチョコレート一つが付いて880円(税込)だ。しかも、その一つ一つがとても美味い。かなりハイレベル。勝又さんなんて「クリームブリュレが食べたいっ」と言って、これを注文して、「ケーキとお飲み物も選んで下さい」と言われて驚いて「ケーキまで食べられるんですか?うれしー」と店員さんが引く勢いでデカいリアクションをとっていた程。俺も最初にメニュー見た時、何度も読み返したくらい。ケーキと飲み物だけなら630円(税込)。荻窪、またはその近辺にいて、お茶したくなったら、迷わずココだと思う。パンとかも売ってて、これがまたリーズナブルな価格で本気で美味い(だから、凄い勢いで売れていく)。

熊倉隆敏著「もっけ 4」(講談社アフタヌーンKC、505円)を読む。何か、4巻目にして随分落ち着いてきた。キャラがしっかりしてきた。少女マンガ的な匂いが減って、民俗学的な匂いも減って、フワフワとつかみ所の無い世界の妖怪的なモノと主人公達の生活の交差具合が自然に物語になっていくという感じになってきた。読みやすい。で、ちゃんと妖怪マンガになってる。北村薫の登場で「日常の謎系ミステリ」というジャンルが生まれたけど、「もっけ」は日常の妖怪系とでも呼ぶとしっくり来るかも。

もっけ 4
もっけ 4
posted with 簡単リンクくん at 2005. 4.18

講談社 (2005.3)
通常24時間以内に発送します。

▼もう随分前に買って読んで、さあどうしようと思っていたのが「東京中華スイーツ(neko mook)」(ネコ・パブリッシング、1200円)という本。まあ、これから中国茶の本を書く俺としては、こういうどうしようもないのが出ると、「どんなに調子悪くても、コレよりひどいのは作れない」と思って勇気さえ湧くのだが、一方で、ちゃんとしてくんないと業界全体が冷えると俺の本も売れないよ、とかも思う。何が凄いって、この本に使われてる写真。何だろう。デジカメで撮ってるのは、まあ良い。でも解像度不足になるほど大きくするのは考えて欲しい。さらに、店内を撮影した写真はどれも手ブレしてて、露出もヘン。海風號の赤い壁の光り方とか、もう悲しくなる。ケーキを切って切り口を見せるのはいいけど、切るのに使ったフォークについたケーキのカスは拭き取るか、フォークを除けるかしようよ、と思う。どの店もテーブルの上に何も置かれていないのはどういうことだろうと思う。窓の外にはキレイじゃないものがいっぱい写ってしまうことを、プロなら配慮しようよと思う。スタッフ見たら写真は編集者じゃなくてカメラマンが撮ってるみたいなんだけど、実際どうなんだろう。店の内部とかは編集者とかライターが適当にコンパクトデジカメで撮ってないか? 海風號とか春風秋月とかANOMAとかを中華スイーツの店として紹介するのもどうかとは思う。で、中華スイーツの本にするなら、ちゃんと徹底して、ここのこのスイーツがこういう風に美味い、という紹介をしてくれ。金出して、ちゃんと食って書いてくれ。読者が、金を出して良いと思うだけの情報と面白さを提供する努力をするのが本を作るということだと思っているのだけど違うのかなあ。何より怖いのは、読者的にはこの程度の方が良かったりすることだけど、どうなんだろう。この本の写真は世間では十分OKだったりするんだろうか。そこも気になる。レシピとか、良い部分もあるんだから、もう少し、全体を配慮して作って欲しかったなあ。俺にやらせないか、とか。

よしながふみ「愛がなくても喰ってゆけます」太田出版、880円)を読む。この人の「愛すべき娘たち」は、去年読んだマンガの中でもベスト3には確実に入る面白さだったので、もうノータイムで購入。美味い店紹介エッセイマンガを装いつつ(というか、その役割は完璧に果たしつつ)、エロい恋愛風マンガとしての連続性を持たせるという構造の丁寧さがエライなあと思う。多分、そこを邪魔に思う人も多いだろうし、逆の人も多いだろうけど、敢えてそれは外さないというのがマンガ家としての心意気(なんだろうと思う)。掲載誌が「マンガ・エロティクス・エフ」だからなあ。食べてる時の顔を生々しくエロめに描いてる意味が最初分かんなくて、食エッセイマンガにしては随分濃いなあと思って読んで、読んでいく内に納得した。面白い。で、もう一つ個人的に面白かったのは、この人、仕事場が南阿佐ケ谷近辺らしく、丸ノ内線沿線や中野、荻窪周辺の店がやたら出てくること。こんなにも、近場の店が大量に紹介されてる本は初めてで、それが凄く可笑しくて笑っていた。行ったことある店も多いし、通ったことある店、行きたいとチェックしてた店も多い。とりあえず、昔からの懸案の「エル・プリモ」は行きたいな。あと「ベーグル」「大田家」あたりは近所だし、是非行こう。

愛がなくても喰ってゆけます。
よしなが ふみ著
太田出版 (2005.5)
通常24時間以内に発送します。