「卓球社長」と「勉強ができなくても恥ずかしくない」

▼打ち合わせが延期になったので、本屋などへ。海風號とかにも顔を出す。写真集の納入などは終わって、それなりに好評であるようで、ひとまずホッとする。ここんとこ、その海風號の「梅烏龍井」をずーっと飲んでいる。美味い。

島本和彦「卓球社長」小学館、524円)を読む。97年から98年に連載して、今年最終話を描いて完結した作品に、同時期(97年)に描かれた人生ゲームをモチーフにした短編をあわせて単行本化したもの。連載当時は知らなかったので当然、初めて読んだ。卓球で生きる社長の話で、本当にそれだけの話で、だから大体、60過ぎのおっさんの卓球シーンがクライマックスであるという、よくもまあ、こんなのの連載を許したもんだ、エライぞビックコミックというようなマンガだけど、だから面白い。もう卓球と人生の重ね具合が完璧。重ね合わせるというのは、こういうことだ、というマンガだけど、それがどの程度分かられるかというと、多分、ほとんど分かられず、ギャグとしてもあまり通じず、というモノだとは思うけど、そういうことは関係なく、分かんない人も笑わせるだけのパワーはあるから、小学館みたいな大手から単行本が出るのだ。

卓球社長
卓球社長
posted with 簡単リンクくん at 2005. 5.15
島本 和彦
小学館 (2005.4)
通常24時間以内に発送します。

二ノ宮知子「のだめカンタービレ #12」講談社、390円)を読む。何となく、このマンガがどこに向かうのかがハッキリしてしまって、そうなるとちょっとツマンナイのだけど、楽典とか作曲法とかをギャグとして扱う手際が上手いので楽しく読める。しょうがないとはいえ、恋愛部分はどうでもいいみたいになっていくといいけどと思う。キャラよりも分かりにくい音楽ギャグに走って、物語が破綻して、でもギャグだけは続くとか、そういう資質のマンガ家ではないことは承知の上で夢見るのだった。

橋本治「勉強ができなくても恥ずかしくない 1.どうしよう…の巻」「勉強ができなくても恥ずかしくない 2.やっちまえ!の巻」「勉強ができなくても恥ずかしくない 3.それからの巻」ちくまプリマー新書、各680円)を読む。多分、三冊合わせて、400字詰で300枚くらいだと思うけど、小学生の高学年から中学生が読むのにちょうどいいボリューム。こういう本が書ける人がいて、ちゃんと、多くの人に届く場所で本を書いてくれているという幸せ。橋本治の小説以外の本は、もうボランティアとしか思えないというか、誰もやらないからしょうがないから書く、みたいな感じではある(これは小説だけど、でも、既に評論として出したネタの再小説化だから、何となく小説外作品のムードなのだ)。だから、いつも助かるなあと思って、嬉しいなあと思って読むのだけど、この本はまた、なんて丁寧な本だろうと思った。子供の頃に、「大丈夫、そのまま行け」と言ってくれる人がいたら、どれだけ嬉しかっただろうと思うのだ。で、今、子供がいて、そのタイミングでこの本があることに、また助かったりして、中学生の頃、「桃尻娘」と「秘本世界生玉子」読んで以来(そして同じ頃PANTAにも出会って)、ずーっと考えてきたから、もしかしたら、この本は俺にも書けたかも知れないくらいは思うけど、でも橋本治が書くことが正しいんだろうなとかも思う(続く)。

勉強ができなくても恥ずかしくない 1
橋本 治 / 橋本 治著
筑摩書房 (2005.3)
通常24時間以内に発送します。
勉強ができなくても恥ずかしくない 2
橋本 治 / 橋本 治著
筑摩書房 (2005.4)
通常24時間以内に発送します。
勉強ができなくても恥ずかしくない 3
橋本 治 / 橋本 治著
筑摩書房 (2005.5)
通常24時間以内に発送します。