キヤノン販売取材と昇太ムードデラックス

▼せっせとDVDを焼いたり、プリンタで初心者用Q&Aのための実験とか繰り返しつつ、AllAboutの今月最後の記事のための写真撮影。実際の撮影はかみさんがやるので、俺は指示だしとチェックのみ。今回は、インクの記事なので試し書きのサンプルもかみさんに描いてもらう。

▼夕方から、品川のキヤノン販売に日経01用にプリンタの取材。初心者から来る質問と、その対処。四辺フチ無し印刷のケラレに関する問題、インクのかすれ、使わないでいる時のメインテナンス、印刷サイズの指定、などなど、プリンタに関する本当に初歩的な問題に対して、実際のところをお聞きする。案外、分かったつもりになっている、または適当に処理してることが多く、現状の技術も含めて、こういう初心者的質問は面白い。徹底して、こういう素朴な疑問をメーカーに聞いて回る、パソコン初心者救済本というのはどうだろうか。かなり需要がありそうな気がするのだが。

▼品川から、渋谷に出て井の頭線で下北沢へ。近いなあ、下北。この、新宿からも渋谷からも近い立地が、ここの妙な文化のポイントだな。で、軽い腹ごしらえ用にカヌレ買って、ペットボトル買って、本多劇場へ。春風亭昇太独演会「昇太ムードデラックス」を見に行く。会場には、既に1496さん、恵さんがいて、あんぱんとかの、それぞれの持ちよりの腹ごしらえモノを食べたりする。フラウラのお菓子とサダハルのお菓子をいただいて、とても嬉しい。で、昇太師匠の洋服でのオープニングトークで開幕。タイガー&ドラゴンの話を中心に珍しく長目のトーク。で開口一番代わりのゲストは、最近多い立川談春で「野ざらしを、まあ談志風というか、高田文夫風に手堅く演じる。随分、軽くなって良かったけど、まだ端々に嫌みというか臭みが残ってて、この感じは談志門下である以上は抜けないのかも知れない、ある種、風土病のようなものかもとか思う。つーか、流石に、まだ野ざらしを軽妙にやれる年では無いということか。続いて、昇太師匠の「青菜」。今回は気狂い噺だけをやると言っていただけあって、青菜の植木屋さんの勢いが凄い。おうむ返しをハイテンションでやるというのは、相当勢いを演出するテクが要ると思うけど、それをクリアしてたわけで、大したもんだ。ちょっとおかみさんの出方とか、白鳥師匠のパターンを拝借してるように見えた。しかし、この「青菜」は、ここんとこの出色の出来。かつての志らくの青菜を越えたな。で、例によって、舞台でSWAの着物に着替えて、そのまま「遠い記憶」。この間のSWAでやった奴だけど、噺が整理されてて、テンポが上がって、随分良くなってた。単に、小学校の頃凄くモテてた男が、冴えないサラリーマンになって、失意を慰めようと出席した同窓会で、昔の同級生が軒並み文集に書いていた将来の夢をかなえていた、というだけのシンプルなストーリーだけに、細かい所の構成や演出で印象が随分変わる、結構難しい噺だと思う。「夕陽ケ丘の総理大臣」とか「パイロット」とかの無理なギャグも多いのだけど、上手く笑いに持っていっていた。今日の昇太師匠は、本当に充実していたと思う。中入後は、再び昇太師匠で「寝床」。昇太師匠の寝床は、これで三回くらい聴いたと思うけど、今回のは凄かった。これまで、どちらかというと上手く消化できてなかった感じで、あまり好きではなかったのだけど、今回は笑った。勢いとテンションの高さで押し切る「寝床」ってのは相当新しいのではないか。「寝床」は、文楽志ん生のおかげで、かなりのレベルで形が出来ている噺なので、ここまで崩して昇太師匠のモノと言えるように練るのは大変だったと思う。ちょっと凄い。蔵に語り込むとか、池に吹き込むとか、先人のくすぐりはそのままに、それらをぶち込んでいく語り口が凄い。もしかしたら落語という芸の領域を無理矢理広げたかもしれない。そのくらいインパクトのある「寝床」。今後の俺の標準になるかも。