毎コミ打ち合せと「さよならの空」

iPod本の打ち合せのために、竹橋の毎コミへ。昨日作った構成案を元に判型とかページ数とか価格とかデザインとかタイトルとかを打ち合わせる。俺としては、出来れば前回までのフォーマットは一新して、A5正寸で128ページ、オールカラーで1580円くらいを考えていたのだけど、どうも毎コミ的にはまだ前回までの真四角のコンパクトサイズに未練があるらしい。タイトルも「iPod Fan Book」は使いたいらしいし。今回、かなり図版や写真を大きく使いたいので、判型も大きめの方がページの見栄えが良くなるのだけど、あのサイズが売れた大きな要因だと考える人も多いらしい。確かに、最初の本はそれで売れたと思うけど、あのサイズとか新書サイズのIT本やグッズ本は明らかに終わってると思うんだけどなあ。まあ、出してくれるだけあり難いので、どうしてもと突っ張るつもりもないけど、この件に関しては絶対、俺の考えの方が売れると思うので、ちょっと残念。タイトルも、もはや「iPod Fan Book」でもなかろうと思うが、これもしょうがないか。「iPod Fan Book DELUXE」とか、「iPod Fan Book PERFECT」とか、そんなのになると思う。も「iPod Fan Book 図鑑エディション」が第一希望だけど通らないだろうなあ。出来ればいっそ「iPod百科図鑑〜iPod Fan Book〜」程度にしたい。まあ、このへんはまだどうなるか分からない。担当の山本さんには、販売とかとの板挟みで苦労をかけてしまうが、良い本を作るためなので、頑張ってほしいと思う。俺も頑張るので、ほんとよろしくということで。

▼打ち合せ終了後、同じ毎コミの外村さんを呼び出して、下の上島珈琲でお茶。外村さんとは去年から引きずってる単行本があって、半分近くまで終わってるんだけど、凄く時間がかかっていて、お互いにちょっとツラくなってて、だもんで仲良しなんだけど連絡しにくくて、まして単に一緒に遊ぶなんてとてもとても、みたいな状態だったのだけど、単行本も再開するし、それはそれ、これはこれ、ということで、少しだけ単行本の打ち合わせもしつつ、単に会ってお茶しようということにして会った。大人なんだからケジメが大事。今日の所は、ただのバカ話で楽しむのが大人の態度というものだ。ということで、バカ話で盛り上がって、つい長話。時々は、こういうのしましょうね、外村さん。しかし、この上島珈琲には、「オレンジミルクアイスコーヒー」というのを飲みたくて入ったのだが、ちょっと甘すぎでした。もっとオレンジ効かせないと。

朱川湊人「さよならの空」角川書店、1500円)を読む。オゾンホールの拡大を抑制する物質の散布により、夕焼けがみられなくなってしまう、という状況の中、最後の夕焼けを見るイベントで盛り上がる日本を舞台に、その物質の開発者であるアメリカ人のおばあさんと、親に見捨てられた孤独で優しい小学生と、クラッカーの青年が出会って小さな旅をする物語。群像劇風にエピソードを積み重ねながら、最終的に科学者の老人の物語に収斂させる構成が上手い。失うものについて、凄く様々な視点から書かれているのに、読後感はとても気持ち良いという、とても珍しい話だった。面白いなあ。SFとしては、山田正紀の「竜の眠る浜辺」とかに似ている感じか。本格SFの設定と手法で、結構危機的な状況を描きつつ、登場人物が全員良い人だったりして、そこに生まれながら離れ離れになっていた親子の物語に重なるような最後の夕焼けのイメージが、凄まじいほど圧倒的で、テーマソングは「宵待草」で、ああ、良い本だった。ただ、それでも、この朱川湊人って人は、短編型の作家だとは思う。この「さよならの空」にしても、連作短編のような構造だし。でも、だからこそ、こういう構築しない長編小説が書けるんだろうな。

さよならの空
さよならの空
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7.11
朱川 湊人
角川書店 (2005.3)
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