「花まんま」とトマトの蒸しスープ(海苑)

朱川湊人「花まんま」文藝春秋、1571円)を読む。東雅夫氏が幻妖ブックブログで「朱川版ウルトラQ in 大阪」と評していた通り、しっかりホラー(怪獣寄りと言っても良いかも)のネタを扱いつつ、どこか切なく、でもほのぼのとて明るくもある作品集。要するに「都市伝説セピア」と同じ傾向の、この人にしか書けない様なホラー短編集で、しかし、クオリティは確実に上がっている。特に「トカビの夜」は、ちょっとここ最近の短編小説ではベストではないかというほどの名作だと思う。幽霊と怪獣と思い出と友達の物語として、この完成度は、ついに俺らの世代の人間も正しい意味の文学を見つけたかも、というくらいの凄い作品だと思う。他の、どの作品も、ちょっと怖くて、どこか可笑しくて、切なくて、気持ちいい、という、珍しいタイプの短編がゴロゴロしてて、いつまでも何度でも読んでいたかったりする。

これは、後の話だけど、これを読んで、「この人、来年くらい直木賞とって一挙に大メジャー作家になるよ」と人に話していたら、今年の直木賞受賞とのこと。半年、早かったけど、こういうのは早くても問題ない。こういう作品が売れるのはとても嬉しい。大ブレイクして欲しい。

花まんま
花まんま
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7.24
朱川 湊人
文芸春秋 (2005.4)
通常2??3日以内に発送します。

▼代官山のオーソドキシーに行って、お願いしていたオーダーメイドのブックカバーを引き取る。やはり、ここの革は良い。良すぎると言ってもいいだろう。この十分の一のランクのものでも十分高級品で通るというレベル。それだけに高価になるのが惜しいと思う。しかし、出来上がったブックカバーは、正に究極のブックカバーと呼ぶにふさわしい出来。エルメスのカバーを超える唯一のブックカバーが出来上がった。でも、実用性は、納富オリジナルの布製の方がさらに上ではある。このへんは、もう趣味の棲み分けでしかないけど、こういう無意味にゴージャスな実用品というのも面白いと思う。使い込むほうが使い勝手も上がるというのも革製品の面白さ。とにかく、こっちは使い込んでみよう。

▼続いて代官山の駅のすぐ近くにある中華料理の店「海苑」へ。青柳さんの紹介で、ここのコースメニュー試食&研究会みたいなものに出席。まあ、実は内輪の食事会なのだけど、そこに合わせるお茶などを考えて欲しいみたいな話もあって、Formosa Tea Connectionの木柵鉄観音(去年の春茶)と春風秋月の観音王を、それぞれ冷茶にして持参。料理のときは冷たい飲み物の方が好きという理由から。実際に、ちょっとワインっぽいムードもあるFormosa Tea Connectionの木柵鉄観音の冷茶は大好評でどの料理にも良く合った。ただ、レストランで出すにはコストが見合わないかもしれない。凄かったのはメニューで、もうフカヒレもナマコもカニも金華ハムもたっぷりと頂いた。中でも、トマトの蒸しスープは、もう俺が今まで食べた全てのスープをブッチギって軽がるナンバーワンというくらい美味かった。菜の蒸しスープも相当美味いと思ったけど、ここのはちょっと別格。食後はシェフやオーナーも交えての、意見交換会もあって、それがまた面白く、役に立ったのかどうかは分からないけど、俺は楽しい食事会だった。いいのか、それで。いいのだろう、多分。

▼日経01の打ち合わせのための資料作成。頭の体操的ソフトやグッズのリストアップと絞込みとか、初心者向けデジタル時短のススメのネタ作りとか。あと、相変わらずiPod本のための見せ方のシミュレーション。これが上手くまとまらないので、仕事が全体にはかどらない。難しいことに手をつけてしまったか。まあ、出来上がれば凄いものになるはずなので、もう少し頑張ってみよう。